―― もんど様、依頼人が花をさしてくれと、バラを一輪、
―― ウム、上着の襟のフラワーホールは、幅は2センチで穴は完全にうがたれていなけれ
ばならぬ。
―― あれっ、この穴は、社章とかバッジをつける穴と思っておりました。
―― この愚か者めが!フラワーホールはもともと第一ボタンの穴のなごりなのだ。
だから、ダブルのスーツなぞ、両衿に穴があいておるのだ。
―― それなら見た事がございます。
―― もっとも本格的なスーツには、下衿の裏側、フラワーホールの7センチほど下に花の茎
をさす穴が糸でかがられておるのだ。
―― うわぁ、本当に花をさすようにつくられているんですね。
―― ウム、それとは別だが、スーツのフロントボタンは、必ず留めなきゃいかんぞ。
フロントボタンを外して許されるのは、座ったときだけだ。
―― 私、いつもはずしておりましたが、
―― カァアツッ!この愚か者めが。三つボタンのスーツは、なか一つ掛け、二つボタ
ンのスーツは上のボタンを留める事で、もっとも美しいプロポーションを形成することが
できるのだ。わかったか。
―― はい、胆に銘じました。
―― 袖口のボタンは、クラシコなスーツでは、4個が基本で、袖口から数えて3個目までの
ボタンは、本物のボタンホールがついていなければいけないのだ。これを、本開きと
か、本切羽ともいうぞ。
―― さようでございますか。
―― 一番奥の4個目のボタンホールは、エゲレスやイタリーのクラシコスタイルのスーツ
では伝統的に穴をふさいでおくのだ。
―― へぇー、それはなぜでございましょうや。
―― 欧米では、上質なスーツやジャケットは、息子にプレゼントすることを前提としておる。
仮に息子が自分より手が長くなり、袖口を出す必要があった時、袖口を出した後、一番
奥の4個目のボタンを取り外し、袖口の1個目のボタンに代用するのだ。
1個目のボタンが2個目にずれるという仕掛けさ、その時、従来の4個目のボタンの穴
がふさがっていて、糸かがりだけであれば簡単に跡を消すことができるであろう、そ
して1個目の袖口の穴は新たにあければよいのだ。
―― へぇー、眼からウロコでございます。
物を大切に使うという思想が、脈々と生きておりますね。感動でございます。
でも、その息子が手の長い子だったらそれでよろしいかもしれませんが、親より
手が短かったらどうなさるおつもりで、ヒッヒッヒッ。
―― な、なんと、おぬし、なかなか鋭い質問をするのう。
その時は、袖山から詰めるようにするのだ。
それとな、スーツの袖口から1個目のボタンまでは、3.5センチが基本で、ボタンとボタ
ンが重なるぐらいくっついている方が、よりクラシコなのだ。
―― なるほど、ギャフン。
―― ボタンホールを、あける理由はさ、手を洗う時、スーツの袖がぬれないように、そのボタ
ンを外してたくしあげるためなのだ。
―― 今度、スーツを選ぶ時、二つボタンと三つボタンと、どちらがよいとお思いですか。
―― 体型に自信がなければ、二つボタンにすべきであろう、なぜかといえば、二つボタンは
全ての体型をカバーするべく三つボタンの後で考えだされたものなのだ。今また三つ
ボタンが、世にでまわっている訳は、二つボタンの時代が、あまりに長かったためだか
らだ。服飾業界が、これから先、再び二つボタンの時代を画策していることは明らかで
ある。日本人は大体において体型がスマートとはいえないし、姿勢が悪いので、Vゾー
ンの大きい方、つまり、二つボタンの方がまちがいなく似合うであろう。
―― ならば、三つボタンにいたします。
―― この天の邪鬼め、さぁ、そろそろ仕事にゆくぜ。
―― がってん、承知、そりゃそうと、とんだ涙雨が降ってますぜ。
坂巻輝行
Teruyuki Sakamaki
1974年生まれ
京橋店・店長
スーツファクトリーdpi四男坊。
お客様とフレンドリーな関係になって、お気にいりの1着をご提案します。
姿形は小柄だけと、声はスタッフの中で一番デカいんです!
やるときゃヤルO型
菱田大蔵
Daizo Hisida
1969年生まれ
京橋店 (自称)スタイリスト
年収の半分をスーツや靴などのファッション費用にあてる、大の服好き。
1930年代のスタイルを自社で販売できるようにしたいというコト。密かに計画中!!!自己中…だけどにくまれないB型
中村亮太
Ryota Nakamura
1966年生まれ(リーバイス66モデルと同い年)
神田南店 店長
趣味はマラソン、東京マラソンも4時間少々で完走!3人の子供のパパとして健康に気を遣ってます!もちろん酒・タバコ・ギャンブルは一切やりません!!(やりたくても小遣いが少ないから…トホホ…。)
大平一彦
Kazuhiko O!hira
1952年生まれ
神田南店 ノンフィクションライター
「神田生まれの太平記」
好評連載中!
松田智信
Tomonobu Matsuda
1968年生まれ
WEBスタッフ
スーツファクトリーdpiきっての長距離通勤者。
通勤バスの中で、もっぱらWEBの本を読んで勉強をしてます!
蓮見寿英
Toshihide Hasumi
1962年生まれ
WEB Director
みなさんに楽しんでいただけるサイト作りを心掛けています。
自称デザイナー…実は単なる「パチスロ好き」
二重人格のAB型